SIMAGIC のハンコン設定ツール「SimPro Manager V3」が、Windows 11 のセキュリティ機能「スマート アプリ コントロール」に止められて正常に動かない、という症状の対処メモです。
結論から書くと、インストーラーのプロパティで「許可する」にチェックを入れ、インストーラーもアプリ本体も「管理者として実行」で起動したら解決しました。スマート アプリ コントロールをオフにする必要はありませんでした。

症状
SimPro Manager V3 を起動すると、Windows セキュリティから次の警告が出ます。

このアプリの一部がブロックされています
アプリが読み込もうとした 159b4e20-33c1-4635-826f-e3c2c3fe837b.dll を発行したユーザーを確認できないため、Simagic SimPro Manager 3 の一部の機能が動作しない可能性があります。
「一部がブロックされています」というのがポイントで、アプリ自体は起動します。ただし読み込めなかった DLL に依存する機能が動かず、デバイスを認識しない・ファームウェア更新に進めない、といった中途半端な状態になります。環境によっては、起動直後に落ちる/インストーラーが無反応、という形で出ることもあるようです。
そしてウイルス対策ソフトを止めても改善しない。これがこの問題の見分けポイントです。セキュリティソフトを切っても直らないので「アプリ側の不具合かな」と疑ってしまいますが、犯人は Windows 標準機能のほうでした。
原因:スマート アプリ コントロール(Smart App Control)
スマート アプリ コントロール(以下 SAC)は Windows 11 のセキュリティ機能で、デジタル署名とクラウド上の評価情報をもとに「信頼できないアプリ・サービス・ドライバー」の実行をブロックします。Microsoft Defender SmartScreen とは別物で、こちらのほうが強力です。
今回ブロックされた「159b4e20-33c1-4635-826f-e3c2c3fe837b.dll」のように GUID のような名前の DLL は、アプリが実行時に展開・生成するコンポーネントであることが多く、本体の exe には署名があっても DLL 単体には有効な署名が付いていないことがあります。SAC はそれを「発行者を確認できない」と判断して、その DLL だけ読み込ませない。これが「このアプリの一部がブロックされています」の正体です。
そしてもうひとつの要素が、インターネットからダウンロードしたファイルに付く「Mark of the Web(MOTW)」という印です。この印が付いたファイルは出どころが不明として扱いが厳しくなり、そこから展開されたコンポーネントもまとめて疑われます。この印を外してやるのが、後述する「許可する」のチェックです。
なお SAC にはアプリ単位の例外設定(除外リスト)が存在しません。Microsoft 自身が「個々のアプリについて SAC の保護を回避する方法は現在ない」と明記しており、警告の「詳細情報」を押しても許可ボタンは出てきません。SAC はクリーンインストール直後の PC で「評価」モードとして静かに動き出すため、自分でオンにした覚えがなくても有効になっていることがあります。
確認:何がブロックされたかを見る
Windows セキュリティ →「ウイルスと脅威の防止」→「保護の履歴」を開くと、どのファイルが何にブロックされたかの記録が残っています。上の警告に出ていた DLL 名がここに並んでいれば確定です。
対処法1:ブロックの解除+管理者として実行(これで解決)
手順1:インストーラーのブロックを解除する
- SimPro Manager V3 のインストーラーファイル(.exe)を右クリック
- メニューから「プロパティ」を選択
- 「全般」タブが表示されていることを確認し、画面の一番下を見る
- 「セキュリティ:このファイルは他のコンピューターから取得したものです。このコンピューターを保護するため、このファイルへのアクセスはブロックされる可能性があります。」と出ていれば、それが原因
- その右にある「許可する」(環境によっては「ブロックの解除」)のチェックボックスにチェックを入れる
- 「適用」→「OK」で閉じる
手順2:インストーラーを「管理者として実行」でインストール
ブロックを解除したインストーラーを右クリック →「管理者として実行」。ダブルクリックではなく、必ずこちらから起動します。
手順3:アプリ本体も「管理者として実行」で起動する
ここが一番の肝です。インストールするとデスクトップにショートカットができますが、これも右クリック →「管理者として実行」で起動します。これで SimPro Manager 3 が無事に立ち上がりました。普通にダブルクリックすると、また同じ警告が出ます。
毎回右クリックするのが面倒なら、ショートカットを右クリック →「プロパティ」→「互換性」タブ →「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックを入れておくと、以降はダブルクリックでも昇格して起動します(起動のたびに UAC の確認は出ます)。
なお、プロパティの最下部に「セキュリティ」の項目がそもそも出てこない場合は MOTW が付いていない(=別の原因)ということなので、その場合は下の対処法に進んでください。
対処法2:最新版・正しいバージョンを入れ直す
署名が更新された新しいビルドならブロックされなくなることがあります。ついでにありがちな「バージョン取り違え」も一緒に解消できるので、やって損はありません。公式ダウンロードセンターの対応表はだいたい次のとおり。
- SimPro Manager V3 系(最新は V3.2.1) … Alpha / Alpha EVO 系ホイールベース向け。EVO Ultra は V3.0 以降、Zeus シリーズのステアリングは V3.1 以降が必要
- V2.1.8 … EVO / Alpha シリーズ向け
- V2.0.346 … EVO シリーズ非対応
- V1.3.2 … Alpha / M10 シリーズ向け
インストール時のお約束として、ゲームとランチャーはすべて終了、ホイールベースは外した状態でインストールして終わってから接続、ファームウェア更新中は絶対に切断・電源断しないこと。もちろん、新しくダウンロードしたインストーラーにも対処法1のブロック解除と管理者実行をセットで。あわせて、ウイルス対策ソフトの隔離フォルダーに放り込まれていないか、タスクマネージャーに SimPro のプロセスが残っていないかも確認を。
対処法3:スマート アプリ コントロールをオフにする(最終手段)
上のふたつで直らない場合の最後の手段です。例外が作れない以上、機能ごとオフにするしかありません。
- スタート →「設定」
- 「プライバシーとセキュリティ」→「Windows セキュリティ」
- 「アプリとブラウザーの制御」
- 「スマート アプリ コントロールの設定」
- 「オフ」を選択 → ユーザーアカウント制御のダイアログで「はい」
「オフ」が選択された状態になっているのを確認したら PC を再起動し、SimPro Manager を入れ直します。
オフにする前に知っておきたいこと
- 元に戻せない場合があります。従来の Windows 11 では、SAC を一度「オフ」にすると「オン」や「評価」に戻すのに Windows のクリーンインストールが必要でした。最近の更新で再有効化できるようになったとされていますが、バージョンによっては戻せないままです。オフにするのは自己責任で。
- 丸腰になるわけではありません。SAC をオフにしても Microsoft Defender と SmartScreen は動き続けます。とはいえ防御が一段薄くなるのは事実です。
- 仕事用 PC ではおすすめしません。ハンコンを挿しているゲーム用 PC だから割り切れる話だと思っています。会社支給の端末なら、まず情シスに相談を。
私の場合は対処法1で解決したので、ここまでやらずに済みました。いきなりオフにする前に、まずプロパティと管理者実行を試してください。
まとめ
- SimPro Manager V3 の機能が一部動かない原因が、Windows 11 の SAC による DLL ブロックのことがある
- まずインストーラーを右クリック →「プロパティ」→ 最下部の「許可する」にチェック
- そのインストーラーを右クリック →「管理者として実行」でインストール
- デスクトップのショートカットも右クリック →「管理者として実行」。ここを飛ばすとまた同じ警告が出る
- SAC をオフにするのは最終手段。元に戻せない可能性があることを理解したうえで
- 本来は SIMAGIC 側が DLL にきちんと署名してくれるのが筋なので、公式のアップデートには期待したいところ
環境
- ホイールベース:SIMAGIC Alpha EVO Sport
- ステアリング:NEO X / ペダル:P500 / シフター・ハンドブレーキ
- SimPro Manager V3.2.1.13313
- Windows 11(バージョンは追記予定)
無事に起動して、デバイスもすべて認識されました。







